「叱らない育児」という表現を聞いたことがある人は少なくないと思います。
しかし、この叱らない育児。
「とにかく何があっても叱らなければそれでいい」というわけではありません。
危ないことをしていれば叱るべきですし、誰かにイヤな思いをさせているのであれば叱るべきです。
「ダメな叱らない育児」をしていると、危ないことを平気でしたり、誰かにイヤな思いをせたりしても何とも思わない子どもに育つかもしれません。
本当の「叱らない育児」とは?
叱らない育児と聞いて「放任主義のことかな?」と考えた人もいるかもしれませんが、それとは全く違います。
「自分勝手な行動をさせて、どんな悪さをしても叱らなければ心に余裕のある子どもに育つ」……なんてことはありません。
これは「ニセの叱らない育児」です。
このような育児を続けていると、変にプライドの高い人間になってしまうというデータも存在しています。
分かりやすく言えば「うぬぼれている」「自分を過大評価してしまう」などといった感じ。
これにより、「僕(私)ならきっとなんとかなる」と根拠のない自信を持ってしまい、何か困難に直面しても頑張れなくなってしまうのです。
「ニセの叱らない育児」と「教育をしないこと」には何も差がないと個人的には感じています。
育児を体験した私が感じること
子どもが誰かをイヤな気持ちにさせるなど良くないことをしていても、一切声をかけない親っていますよね。そのときに子どもを視界に入れていない人もいますし、「あらあら駄目よオホホ」なんて感じで笑っているママも少なくありません。
「そうだよね!酷い……」と共感してくださった方もいるかもしれません。
しかし、それでも「幼少期くらいはできれば叱らずにいたい」というのが多くのお母さんの本音なのではないでしょうか。
実際、私もそうでした。
ですが、本当に叱らないようでは育児は上手くいきません。
ある程度年齢を重ねてからもほとんど叱らないようでは、信じられないくらい自分勝手な子どもになってしまう可能性も。

まず、次のケースでは絶対に叱ってください。
- 危ないことをする
- 自分や誰かにイヤな思い(精神的・物理的)をさせている
- 誰かに迷惑(精神的・物理的)をかけている
まあ、一応分けましたが「イヤな思いをさせる」ことと「迷惑をかける」ことは、おおよそ同じです。
とりあえず、危ないことをしていたら何があっても叱らないとダメですよね。
そこで放置しているようでは、ある程度の年齢になっても「普通はそんなことはしないよ!」と言いたくなるような、ケガや「周囲の破壊」などに繋がる行動をするかもしれません。
あとは、周囲にイヤな思いをさせているのであれば叱らなければなりません。
正直なところ、「その子ども自身がイヤな思いをしている」だけであれば叱らなくても良い場合もあると思いますが、他人に迷惑をかけているのであれば放っておくのはNGです。
適切なタイミングできちんと叱ることができれば、その子どもの「物事の善悪を判断する能力」が上がっていきます。
また、「本当は悪いことだと分かっているけれど、やってしまう」という「甘え」の気持ちも出にくくなります。
特に小さい子どものうちは、叱らないと、つまり言葉にしないと理解できないことがたくさんあります。
「このくらい言わなくても察することができる」という大人の目線で考えず、子どもの心情や成長段階を考慮しつつ叱りましょう。
ですが、何も考えずに叱ってはいけません。
「叱ることは、愛することである」と考えましょう。
こんな叱り方はNG!
自己肯定感を損ねる叱り方
「自分は価値のある存在である、愛情を向けられている」と実感する気持ちのことを、「自己肯定感」と言います。
逆に「自分には価値がない、愛情が向けられていない」と感じているのであれば、自己肯定感が薄いということになります。
最近、自己肯定感が薄い子どもが多くなってきています。特に日本は諸外国よりもそういった子どもが多数いる傾向にありますね。
「謙虚なのが美徳」という考え方が小さいうちから根付きやすいお国柄でもあるので、仕方のない部分もあるかもしれませんが……。
では、具体的な叱り方の話を。
とりあえず絶対にマズいのは「感情的な叱り方」です。また、怒鳴るのが絶対にダメとは言いませんが、そこに不必要に感情が籠ってしまうのであればやめておきましょう。
大声を出されてしまうと、子どもはそのこと自体に恐怖感を抱いてしまって、「何がいけなかったのか」「なぜ叱られているのか」を考えられなくなってしまいます。
また、「ダメな人間だから叱られている」「愛されていないから叱られている」と思い込んでしまう場合も。
それからイライラしていると、つい嫌味を交えつつ長時間叱り続けたくなるかもしれませんが、それもダメです。「怒られている理由」がだんだんボヤけていくので、できるだけ短時間で要点をまとめて叱ってください。
また、「馬鹿!」「どうして分からないの!」などと、人格ごとけなすような叱り方も絶対にダメです。
それから、両親が二人で叱るのも基本的にはおすすめできません。
それでは、子どもの逃げ道がなくなりますからね。
「どちらかが叱ったのであれば、どちらかが優しい声をかける」というくらいのバランスを保つべきです。
他人と比べる
「あなたくらいの年齢の子は、もっとちゃんとしているのよ!」など、他人と比べるような叱り方をすると、その子どもの性格が卑屈になってしまうかもしれません。また、物事全般へのモチベーションも下がりやすくなると言われています。
そもそも、誰かと比べるという行為自体に意味がないと私は思いますね。
「あなたの言動の何がいけなかったのか」を子どもに伝えるのが「叱ること」の本質だと個人的には感じますので。
ただ、「前の『あなた』ならしなかったことだよ?」などと、「別の時期の本人」と比べるのであれば問題ありません。
「叱る基準」がバラバラ
「昨日怒らなかったことで、今日は怒る」ということですね。
個人的には、子どもにとっては、これが一番イラっとするのではないかと思います。
また、母親と父親で「叱る基準」を揃えておきましょう。
体罰
色々な意見があるかもしれませんが、私としては「体罰は何があっても100%厳禁である」と考えています。
物理的なケガをさせることはないでしょうが、精神的なダメージは計り知れません。
また、ある程度成長した段階で非行に走りやすくなったり、精神的な病に侵されやすくなったりするというデータもあります。
それから、「体罰をされた子供は、大人になって体罰をする」という恐れも。
まとめ
「叱らない育児」とは、言い換えれば「適切な場面・方法以外で叱ることはしない育児」なのです。
難しい面もあると思いますが、まずは「怒鳴らない」「人格をけなさない」「『何がいけなかったのか』を伝える」「子どもの意見も聞く」ということだけは徹底しましょう。
あとは、叱るぶん、普段はその何倍も褒めてあげたいところですね!
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