小学生は義務教育の始まりで、基礎学力をつけ始める時期です。
また小学校では体育の時間があり、体を動かす機会が増えるだけでなく、休み時間や放課後、小学校から帰ってきてから友達と遊ぶなど、本格的に活動する機会が多くなります。
うんと体を動かしたあとはしっかりと睡眠をとることが大切ですが、睡眠が不足しているお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
小学生のお子さんがいる方にとって、小学生の適切な睡眠時間はどれくらいなのかが気になるところです。
今回は、小学生の理想の睡眠時間や、睡眠時間が及ぼす学力・身長の影響についてご紹介します。
小学校の理想の睡眠時間は何時間?
小学生のお子さんがいる方は、小学生の理想の睡眠時間は何時間くらいなのかが知りたいでしょう。
睡眠時間については諸説ありますが、小学生(6~12歳)にとって理想の睡眠時間は9~11時間です。
この時間は昼寝などの時間を含めず、夜に連続してとる睡眠時間をさします。
信憑性の高い小児科医の書物である『Nelson’s Texbook of Pediatrics』にも小学生前後の睡眠時間については記載があり、この書物をもとに小学生にとって理想の睡眠時間を算出すると以下のようになります。
学年・年齢 | 睡眠時間 | 学年・年齢 | 睡眠時間 |
1年生(6~7歳) | 10時間30分 | 4年生(9~10歳) | 9時間45分 |
2年生(7~8歳) | 10時間15分 | 5年生(10~11歳) | 9時間30分 |
3年生(8~9歳) | 10時間00分 | 6年生(11~12歳) | 9時間20分 |
次いで、実際に小学生がとっている平均睡眠時間は以下の通りです。
学年・年齢 | 睡眠時間 | 学年・年齢 | 睡眠時間 |
1年生(6~7歳) | 8.52時間 | 4年生(9~10歳) | 8.32時間 |
2年生(7~8歳) | 8.50時間 | 5年生(10~11歳) | 8.28時間 |
3年生(8~9歳) | 8.45時間 | 6年生(11~12歳) | 8.18時間 |
高学年になるほど少しずつ理想の睡眠時間や平均睡眠時間が短くなっていることが分かります。
また実際の平均睡眠時間は、理想の睡眠時間より短いことがお分かりいただけるでしょう。
例えば、小児科医の書物に書かれている小学5年生の睡眠時間は9時間30分。
小学校の登校時間が8時30分と仮定し、朝食や準備に1時間かかるとすると7時30分には起きなければいけません。
7時30分に起きるためには22時00分に睡眠に入らなければならないのです。
睡眠に入るまでに15~20分かかると計算すると、21時30分には床につかせる必要があります。
多くの家庭では21時00分に就寝させる家庭が多く見受けられますが、21時00分に布団に入ればどの学年であっても理想の睡眠時間をとることができるのです。
ただ前述のように、実際の小学生の睡眠時間は、理想の睡眠時間より1時間以上短くなっています。
もちろん理想の睡眠時間をとっている小学生もいますが、そうでない小学生もいるということです。
総合的に考えると、現代の小学生は睡眠不足になりがちといえるでしょう。
小学生の睡眠不足がもたらす影響とは?
先ほどお伝えしたように、現代の小学生は睡眠不足になりがちですが、小学生の睡眠不足が続くと私生活にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
ここでは睡眠不足の小学生にみられる傾向についてまとめました。
成長ホルモンが不足する=身長が伸びにくい!
脳から分泌されるホルモンのことを「成長ホルモン」といいます。
成長ホルモンは睡眠中に分泌されるもので、脂肪の分解、肝臓への働きかけを行なうなど、体の機能のコントロールをする役割を担っているのです。
また成長ホルモンは、骨や筋肉にも働きかけて成長を促す役割も果たしています。
小学生にとって成長ホルモンの大切な働きかけとして「身長を伸ばす働き」「体の代謝を促進する働き」があります。
身長が伸びる理由は、成長ホルモンが柔らかい骨を丈夫な骨に変える働きをしているためであり、身長を伸ばすためには十分な睡眠が欠かせないのです。
また成長ホルモンが十分に分泌されると、古い細胞が新しい細胞に変わっていくため、早期老化や病気を防ぐ効果があります。
このように成長ホルモンが不足すると身長が伸びにくくなりますので、やはり十分な睡眠が必要なのです。
思春期が早くなる
睡眠時間が短くなると、前述の成長ホルモンに影響を及ぼすだけでなく、眠りを誘う「メラトニン」の分泌量が増えるため、性ホルモンが分泌されやすくなるのです。
このことから、男子は声変わり、女子は初潮など思春期を迎える時期が早くなるため、身長が伸びる時期が短縮されてしまいます。
一例では、小学校2年生の女子が胸のふくらみや初潮を迎えるなどの事例もあるほどです。
小学生の成長を止めないためにも、十分な睡眠時間を確保させる必要があります。
学力が伸びにくくなる
小学校で授業を受けているときは、さまざまな知識・教養を身につけていますので、頭の中にそれらがインプットされていることに間違いありません。
しかし実際は、睡眠をとっている間に脳は1日の情報を整理し、知識・教養として定着させているのです。
つまり十分な睡眠時間を確保した小学生のほうが知識・教養を忘れにくく、新たな知識・教養も定着しやすくなります。
睡眠時間が短いと学力が伸びにくくなりますので、小学生には理想の睡眠時間をとらせたいものです。
食生活が不安定になる
十分な睡眠がとれている場合は体の代謝が良いことから、胃や腸の働きが活発であるため、十分に栄養を吸収することができます。
しかし睡眠が不足している状態だと、胃や腸の細胞が古いままになってしまい、食事に含まれている栄養を十分に吸収することができないのです。
著しく体が成長する小学生にとって、睡眠がいかに大切なものかがお分かりいただけるでしょう。
小学校の睡眠の質をあげる方法とは?
ここまでは十分な「睡眠時間」に注目してきましたが、睡眠時間が十分であっても睡眠の「質」が良くなければ、小学生へ悪影響を及ぼします。
小学生の睡眠の質をあげる方法は複数挙げられます。
例えば、人の睡眠はレム睡眠(=浅い眠り)と、ノンレム睡眠(=深い眠り)が約90分間隔でやってくることをお知りいただければ、小学生がレム睡眠の時間帯に起きられるように就寝させれば、翌朝すっきり起きることができます。
また寝具や衣類の素地を、通気性の良い綿や絹を選ぶことで、心地良い睡眠をもたらすことが可能です。
ここまでお読みいただければ「子どもを○時に寝かせよう」とイメージできたと思いますが、最後にお考えいただきたいのが食事の時間。
満腹状態ですぐに寝ると、臓器の動きも活発ではなくなりますので消化不良を起こす可能性が出てきます。
また寝る直前に、お菓子や果物のように糖質の高いものを摂取させると、脳が興奮状態になってしまいます。
これらのことを考慮したうえで小学生を睡眠させることで、質の高い睡眠をとらせることができるでしょう。
まとめ
今回は、小学生の理想の睡眠時間や、睡眠時間が及ぼす学力・身長の影響についてご紹介しました。
記事でご紹介した理想の睡眠時間を確保するためには、小学生を21時00分頃に就寝させるのがベストです。
理想の睡眠時間を確保することも大切ですが、睡眠の質も大切ですので、小学生が質の高い眠りにつけるよう、保護者がきちんと管理する必要があります。
今回の記事を参考に、小学生に理想の睡眠時間を確保させるとともに、質の高い睡眠を確保することで学力や身長を向上させてみてはいかがでしょうか。
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